いじめの原因

 ウサギと亀の競争のおはなしがあります。

 ウサギが油断して眠っているのをよいことにして勝ったにもかかわらず、 亀を悪く言う人は居りません。

 なぜ起こしてあげなかったのでしょうか。勝つことよりもっと大切な事 だってあるはずです。

 その時は勝つことだけを目的とした競争だからよいのかもしれませんが、 子供の教育で、亀は偉いとか立派だとかしか子供の心に残らなかったと したら、大変なことにはならないでしょうか。

 「友達の油断や失敗を喜びなさい、そして友達の弱点を狙え」というこ とが潜在意識の中に芽生えて成長してゆくと、確かに競争には強い子に なるかもしれません。しかし、競争しかなくて、競争が全てだというこ とが、無意識の中に植えつけられて育ったならば、その育ったものは、 相手のことを考えない鋭さと薄情という形になって人格形成をなしてゆ くことでしょう。

 いじめの原因は薄情に育った姿です。人の失敗を喜んだり、欠点を笑っ たり、弱点を攻めたりする心がどこかで芽生えて育ったのであることを 誰が否定出来るでしょうか。

 更に日本人の特徴は、誰もがすぐに傍観者になってしまうことです。

 これも薄情から来ているのかもしれません。

勝つ人が居るということは、必ず負ける人が居るということです。 負ける人に対するいたわりやおもいやりを、今日一体誰が教えているの でしょうか。

 人生は勝つことだけでは幸せにはなれません。それよりももっと大切な ことは、相手の身になって相手をたすけることではないでしょうか。