部下の叱り方

 “自分に厳しく人にやさしく”というのは常識ですが、しかし、上司が部下に対してやさしくばかりしていたらどうなることでしょうか。

 部下というものは上司からこんなに素晴らしいサービスを頂けるものかと思い始め、やがてもっと質の良いサービスをしてくれと益々上をのぞむことになるかもしれません。 もっと丁寧に自分を扱って欲しいとか、もっと楽をさせてほしいとかとだんだんおかしくなってしまうかもしれません。

 いつもいつもやさしくされていて、たまにガンと大きく叱られると、あまりの驚きに、自分の人間性の全てを否定されたような気がして、会社を辞めていく社員がよくあるものです。

 いつも叱られ慣れていれば、また始まったと思って受け止め方も上手になっているから、この厳しさに負けてはいけないと思う余裕もあります。

 優越感の強い人ほど劣等感を強く感じるといわれるように、部下を褒め過ぎて優越感を持たせていると、今度叱った時には大きな劣等感に襲われて動転して判断力を失う結果になるから、決してあまりいい気にさせてはけません。

 いつも謙虚な気持ちで、どうぞ何なりと厳しくご指導下さいという姿勢を持たせておくことが肝心です。

 叱って改めさせることを目的とするよりも、上司の命令が部下にスムーズに流れる雰囲気作りの方がもっと大切なはずです。

 そのためには、少し遊び感覚で、叱られることが楽しいと思える雰囲気をどう作るかということが一番大切なことではないでしょうか。



 上司から叱られて嬉しいと思える時は、上司の思いやりが感じられる時です。 又は、上司に何ともいえない魅力があると、こちらを向いて頂けるだけでも嬉しいという気持ちになるものです。