なぜ平和が訪れないのか

 家族であっても、友達であっても、会社であっても、人間関係ほど簡単なようで難しいものはありません。

 人間というものは、一人では淋しいのに、二人以上になると争いが起きるのはなぜでしょうか。

 それは「自分の都合を先に考えると、人の都合はもう考えられなくなる」ということがよくわかっていないからではないでしょうか。

 人は知らず知らず、自分の都合のよいように動いているもので、それが知らず知らず、人にがまんをさせる結果になってゆきます。そしてそのがまんが爆発して争いが起ります。

 人は誰でも楽をしたいとか、いい思いをしたいとかと思わない人は居りません。それがだんだんとまわりの人にがまんをさせてゆく結果になってしまいます。

 自分よりも相手に楽をして頂きたいとか、自分よりも相手の方にもっと喜んで頂きたいという気持が強ければ対立は起きては来ないはずです。

 人間はどうしても自分が一番かわいいから、たったそれだけのことが出来ないものです。

 人間の体には六十兆個の細胞があるのに、それがけんかもしないで仲良くイキイキと働いています。現在地球上の人口は六十億ですが小さな争いから大きな争いまで、いつもいざこざが起きているのはなぜでしょうか。

 自分がかわいいように、人も同じようにかわいいと思い、人を大切に考えることが出来たら、人間関係はまず基本が出来たことになるのではないでしょうか。そして最も身近な家庭の平和を目指すことを第一歩としたいものです。

 科学だけがどんなに進んでも、世の中も家庭も平和にはならないことを人類はまだ知らないのかもしれません。



 マザーテレサは言いました。
「愛は家庭から始まる。まず家庭の中で不幸な人を救いなさい。平和とうるおいの家庭が築けたら、隣人を愛しなさい。自分が、自分の家庭が愛に満たされなければ、隣人を愛せません」と。