心のふれあい

 現在地球上に六十億人の人間が住んでいます。 目も耳も口も必ず付いているのに、それでも同じ顔の人は居りません。どこかしら微妙に違っているのをみると、天の作品のような感じがします。人間では作れないからです。

 性格も皆それぞれの違いがあって、同じ性格の人は居りません。人生の厳しさを克服してくると、性格も磨かれて味わい深いものになってきますが、顔も成長して、その人なりの魅力のあるいい顔になってきます。顔も性格も、それぞれに違った別々の良さが出てくるのは不思議なことで、まことによく出来た作品であることに驚きます。

 あの人は嫌いだ、この人は合わないなどといっていると、それだけ人生を狭く生きてゆかなければなりません。それだけ自分が人間として小さいということであって、いろいろな人が居ても不思議ではないはずですから、問題は自分の方にあるということにはならないでしょうか。

 もし自分が幼稚園の子供程度の人間であったとしたら、他人のそれぞれのよさというものはほとんど分かりません。皆同じような人に見えたり、また自分と同じような程度の人にしか見えないことでしょう。

 自分がだんだんと大人になるにつれて人の素晴らしさがよくわかるようにもなれば、また人の違いも何千通りもあることがわかってくることでしょう。

 さらに自分が人間として磨かれ、心が豊かになればなるほど他人の素晴らしさに深い感動もするようになることでしょう。

 どんな宝石やどんな絵画を楽しむよりも、人との心のふれあいはもっと感動的な大きな喜びがあるのではないでしょうか。

 人は人との心のふれあいを楽しむことによって、人間とは何かということがわかり、人間としての本当の喜びや楽しさを知ることができるのではないでしょうか。



 自分の心を豊かにしないと人が見えないから孤独になってゆきます。人が見えるようになると、人との心のふれあいを楽しむことができるようになります。
 心のふれあいこそ天が与えた人間の最高の喜びではないでしょうか。