親は泣いている

 親は子供に言いたいことが沢山あるものです。

 しかし、それを全部言える親は殆ど居りません。

 言えば子供が嫌がるのではないかと思うと、つい他の話をしてしまいます。

 気難しい子であれば、親は何日も考えて言葉を選んで、せめて一言言うのがやっとです。 しかも、それをさりげなくポロッと言うのですから、子供は全く気づくことは出来ません。

 親は子供が機嫌がよいのが一番うれしい為に、気分を壊すのではないかと心配なのです。 小さい時は、すぐ機嫌を直してくれるから案外気軽にポンポンと言えますが、 大きくなるにつれて気難しくなるから出来ることなら気がついてくれるまで待とうと、 じっと我慢をしてしまいます。 その為に、夜が眠れない親やストレスで病気になる親も少なくありません。 そうして親の命を縮めても子供は気づくことは出来ません。 知らず知らずとんでもない親不孝をしているのです。

 なぜそんなに言いたいことが沢山あるのでしょうか。

 親は子供のことを先の先まで心配するものです。それが小言の原因です。 可愛いという愛情を持てば持つ程、沢山の言いたいことがわいて来ます。 それが多ければ多いほど愛情の深さの証拠とも言えるのかもしれません。

 他人だと思えばいくらでも無関心になれます。

 子供もその方がよいから放っておいてくれと言いたいのかもしれません。

 一人前に自主自立をさせる為には、その方がよいのかもしれないと親も分かっています。

 しかし、親のその愛の灯を消すことの出来ない孤独な親のつらさを、 一体誰が分かってあげたらよいのでしょうか。