転 職

 福沢諭吉は、「世の中で一番さびしいことは、する仕事のないことです」と言いました。

 趣味は自己満足のものですが、仕事は人に満足をして頂いてお金を頂くものです。

 人に満足をして頂く仕事が出来なければ人間として生きてゆけなくなるのですから、 人に満足をして頂くということは、 命にかかわる重大な問題としてとらえなければならないのかもしれません。

 自己主張とかプライドとかやりがいなどと自己中心的なのんきなことをいっていると 人は誰も相手にはしてくれなくなってしまいます。

 謙虚な低い心にならなければ、仕事は覚えることさえ出来ません。 偉い心を起こしている人には教えたくなくなるものです。 仕事は誰かに教えて頂かなければ遠回りばかりをすることになります。 仕事は又与えて頂かなければならないものですから、 仕事を頼みやすいといわれる雰囲気も勉強しなければなりません。

 転職は一年生からの出発です。 新しい会社にはその会社のやり方があるから、 まずそこの価値観から学ばねばなりません。

 アマチュアが、その道のプロになるのですから容易なことではありません。 大学の受験勉強よりももっと厳しいものがあるはずです。 一年から二年の間は、どんなに頑張っても、 やればやるほど奥の深さがわかりどんどん自信がなくなってゆくものです。 殆どの職業は早ければ三年目くらいから少しずつ自信というものがついて来るものではないでしょうか。

 自分にも出来るかもしれないという喜びの灯がついて、 それから人生を賭けてやってみようという本気がわいて来ます。 気がついてみるとこれが一生懸命というものだと自分を評価したくなるのが普通のパターンかもしれません。

 誰もがそのコースを通ってきた人達ばかりなのですから、 まず謙虚な低い心になってやるしかないのではないでしょうか。 自分に合うか合わないかなどと考えているとベストを出すことが出来ないから必ず失敗をします。

 「われこれより他に生きる道なし」と心に決めた時に、 はじめて転職に成功するのではないでしょうか。