三才心

 汗を流した後に飲む一杯の水は格別においしいものです。

 それは飲みたいと思って飲むからおいしいのであって、飲まねばならないと人から言われて飲まされたのでは、それほどにはおいしくありません。

 一生懸命に働いて疲れたときは、夜寝るのが一番の楽しみです。そんな時はぐっすりとよく眠れますが、眠れない時に眠らなければいけない!眠らなければいけない!と自分にいくら言い聞かせてもそう思えば思うほど眠れなくなることがあります。

 現代人は今、何々をしなければならないという心の習慣の中で生きています。仕事をしなければいけない!勉強をしなければいけない!急がねばならない!行かねばならない!人に会わねばならない!などと、人間の心や行動を益々束縛していっていないでしょうか。

 それが今日ストレスという現代病を生んでいるのかもしれません。

 仕事はやらされていると思えば一日ももちません。自分から好きでやればいくらやっても疲れを感じません。子供が疲れを知らないのは好きでやるからであって、そういう子供の遊び心の重要性をまだ十分に認識されていないところに問題が残っているのかもしれません。

 文明という怪しい衣にまどわされないで、時には三才くらいの子供の心に返って人間の自然な心をとり戻そうとすることを人は忘れてはいけないのではないでしょうか。

 地球は文明病にかかっているのかもしれません。



 今、自然がどんどん破壊されています。教育の名のもとに、実は人間も破壊されている一面があるのかもしれません。
 人間とは何かという本来の自然な姿を世界中のみんなで探し求めたいものです。