厳しさが命

 
 台風の日に崖道を歩く時は、油断をしないように力が入ります。
 天気の良い日に散歩道を歩く時にも、同じように力を入れて歩けといわれてもそれは出来ません。
 飛行機が飛び立つときにも、向かい風に向かって走るから空中に浮かび上がることが出来ます。
 
 人は仕事をする時、出来ることならのんびりと楽してやりたいと思うものですが、しかし、それでは油断をして力が入らないので立派な仕事をすることは出来ません。たとえ失敗をしてもお詫びをすれば許されるという状況のもとで仕事をするよりも、失敗をしたら取引が停止になるとか、会社が倒産するという状況下で仕事をする方が全開の力が入って良い仕事をすることが出来ます。
 
 従業員が失敗しても、従業員自身には何の責任負担はないという場合と、失敗をしたら責任を取らされるという場合とでは、決して同じであるとは言えません。失敗をしても痛くもかゆくもないという設定では力の入れ方が違うのでなかなか進歩や上達をしないものです。
 
 かわいそうでも崖っぷちに立たせて恐怖の設定をすることが何よりも一番本人の為です。
 
 小さくすみずみにまで責任体制の確立をして、自主自立をさせて一人一人の力を最大限に活かすシステムをつくらなければ決して大きな力は生まれては来ないのではないでしょうか。
 
 厳しい困難な向かい風こそが、自分を強くたくましく育ててくれる一番大切なものであることをいつも忘れないでおきたいものです。
 
 
 とかく人はすぐ楽を求めます。しかし、そこから崩れてゆくものです。
 自分に厳しくしてくれる人が居なかったら、誰でもみんな崩れてゆくのが人間というものではないでしょうか。