船には復原力というものがあって、波が来て傾いても、また元に戻る力があります。 サーカスの綱渡りも、あんなに揺れてもバランスが崩れません。それは元の位置を保とうとして中心を見つめているからです。 人間の精神状態も毎日いろいろな変化が波のように押し寄せて来る為に、いつも不安定にさらされています。 しかし、何か大切なものを見つめている人は、波に負けることなくすぐ安定を取り戻すことが出来ます。 その見つめているものが、自分にとらわれた小さなものであれば、やはり波の力に負けて揺れはなかなか止まりませんが、正義とか、善とか、人の為とかと自分を越えた大きなものであれば、波の力も負けてしまいます。 大切なものは何かを発見して、そしてそれがどのくらい大切なものであるかをよく認識して、更にそれをしっかり見つめていれば、少々の波が来てもフラフラと揺れることはありません。 困難に直面するとろうばいしたり、逃げたり、落ち込んでしまったりする人がよくありますが、それはまだ自分に執着しすぎて大切なものの意味を本当に理解出来ていないからではないでしょうか。 子供の為、親の為、世の為、人の為、正義の為、善の為、神の為などと、人はそれぞれ何か価値あるものを心に持って、それを見つめて生きているものです。 それが高度なものであればあるほど、そしてその信ずる力が強ければ強いほど、その人の復元力は強いものなのではないでしょうか。 |
誰でも落ち込むことがあります。 しっかりした希望を持っていると立ち直りも早いものです。 自分以外の大切なものをしっかりとつかんでいる人は 落ち込むこともないのではないでしょうか。 |