企業は人なり

 
 会社は家庭とは違います。
 
 家庭はいたわり合い、助け合い、くつろぎ合うところです。会社はくつろぎ合うところではありません。
 
 また、趣味を楽しむサークル活動でもありません。
 
 そして、性善説を信じてやる天使気分のボランティア活動とも違います。
 
 会社は食うか食われるかの生存競争の場です。
 
 一見善意ばかりで動いているようですが、会社同士は油断をすれば生命を断たれる間柄であり、従業員もお人好しのボランティアをするために働くのではなく、自分の命を守り会社を守る為に出社するのです。また経営者もお人好しで職場を提供するのではなく、営利追求の為に人を使うのです。お互いにメリットを与えられなければ必ず縁が切れるところでもあります。

 しかしまた、現実的な本音の部分を忘れて、人情めいた動きをしていると気分はよいけれど、やがて矛盾に苦しむことになります。

 会社は合理主義を究めなければなりません。企業は非情でなければならないという鉄則があります。厳しさが命であり、人情や甘えがあると、それがアリの一穴となって総崩れになってしまうことは明らかです。
 
 しかし、企業は人なりともいわれ、人間がやるものですからその人の人間性がそのまま形に出て来ます。どんなに非情になって合理性だけを追求せよといわれても、消しても消しきれないその人の本当の人間味というものが出てくるものです。

 打算だけでも失敗します。偽善ではなくその人の本当の人間性の全てをもって勝負するのが企業です。
 
 命がけの厳しい戦場において、その人の持っている本当の部分が全部出てしまうところに経営のおもしろさがあるのかもしれません。
 
 今社員の一人一人が経営に参画することの大切さが問われています。
 
 社員全てがこうした理念を持って経営に参画し、みんなが心を一つにして働くならば会社は更に大きくパワーアップして発展するのではないでしょうか。
 
 
仕事は厳しいものであり辛いものです。
だからこそ人間が磨かれるのかもしれません。
磨かれて成長した分だけ会社も成長するものではないでしょうか。