理想の部下

 
 家庭で主人が「困ったなあ!」と言えば、奥さんは「困りましたねえ!」と言って一緒に困る奥さんが理想の奥さんであるといいます。

 会社でも同じことで、上司が「困ったなあ!」と言えば、補佐も「困りましたねえ!」とまず一緒になって困ることが大切です。
 
 人間は困るということは辛いことです。しかし困った経験を多く持つ程人は強くなり賢くなるものですから、困るということは実は大変素晴らしいことなのではないでしょうか。
 
 だったら一緒に困って、そこから一緒に学ぼうとする方が賢明です。部下が知ったかぶりをして、こういう時はこうした方が良いとか、ああしましょう、こうしましょうというよりも、こうしてみてはどうでしょうかとお伺いをたてる方が上司は元気が出るものです。あくまでも結論や方針は上司が出すようにしなければ、目上と目下の区別がつかなくなってしまいます。
 
 どちらが上司かわからなくなることは必ず混乱が起こり、確実に崩壊へとつながってゆきます。

 上司より優れた部下に恵まれることが成功の秘訣ですが、しかし、部下が上司を上司とも思わなくなった時に、悲劇が始まります。上司が友達のようにつきあってくれるからといって友達気分になることは間違いです。
 
 部下は上司に対して、いついかなる時も最高の礼儀を守ることによってのみ最高のつとめが出来るものです。
 
 そして上司は自分の弱さを隠さず安心してさらけ出せるようでなければ部下は誤った判断をすることになります。
 
 補佐役とは上司の弱いところを助け、長所をさらに伸ばす応援する裏方の役目です。
 
 そして謙虚さと素直さをもって上司の喜びを自分の喜びとすることを基本として、後は自主的に積極的にやってゆくことが重要なことではないでしょうか。
 
 
 お客様が自分を友達のようにしてくれるからといって友達の ようになれなれしくしていると、賢いお客様ほどこれはおか しな関係になってしまったと早く気づくに違いありません。