家庭教育 その二

 子供にとって初めての学校は家庭であり、初めての先生は母親です。

 性格は家庭でつくられるのですから、親の責任は最高に大きいものと言わねばなりません。

 子供を育てる上で一番大切なことは、生きる勇気とたくましさを身につけることではないでしょうか。

 だから親は本能的に、まず子供に自分の意思で何かをさせて自主性を育てようと一生懸命になります。

 しかし、大切なことは自主性だけではありません。それは確かに勇気とたくましさの芽は出てくるかもしれませんが、素直さというもう一つの大切なものを教えなかったらわがまま気ままな性格になって、自己中心的なわがままな子になって取り返しのつかないことになってしまいます。

 柔順な素直さは、たくましさと相反する心の働きです。

 人の話をよく聞く心や、自分の気持ちを抑えて協力していく素直な心を子供の時に十分に養っておかなければ、野獣のようになってしまいます。大きくなってからでは、もうどうすることも出来ません。

 素直さとは入力する力のようなものであり、たくましさとは出力する力のようなものであり、それは両輪の如く同じように大切なことではないでしょうか。

 人間はコンピュータに負けないほどいろいろなものを入力しなければ、これからの複雑な社会は生きて行くことは困難です。人の話をよく聞いて人を理解する力や、仲良く協調してゆく素直さを家庭教育で一番力を入れなければならないのに、たくましさや自己主張という出力ばかりに力を入れ過ぎるから、子供に苦しめられる親がどんどん増えているのではないでしょうか。
 人間もコンピュータも出力の素晴らしさに拍手を送りますが、しかし、それは入力をされていたからであって、全ては入力次第であることを忘れてはいけないのではないでしょうか。