豊かさの落とし穴

 「さぞやお淋しいことでしょうね」と本気で人のことを心配して声をかけてあげられる人が居ます。

 自分が淋しさを本当に経験している人でなければ決して出来ないことです。

 「さぞやお腹の空いていることでしょう」と心から心配してあげられる人が居ます。

 自分が空腹の生活を経験していなければ出来ないことです。 

 病気も、借金も、貧乏も、子供の非行も、失恋も、挫折も、悲しみも、不眠症も、失業も、事業の失敗も、・・・・・。

 自分が経験していなければ、人の心の痛みはわかりません。

 苦しんだことのない人には人の苦しみはわかりません。 

 人の苦しみがよくわかれば、たすけずにはいられなくなります。

 人の痛みがよくわかる人ほど、なんとしてでもたすけさせて頂きたいと祈らずにはいられない気持ちになります。

 貧しくなければ貧しい人はたすけられないのかもしれません。

 人は恵まれて暮らしていては横着になって怠けものになってしまいます。

 豊かさは人を薄情にし、人間関係を希薄にするものであることに、今日、気づいている人がどのくらい居るでしょうか。